『アリスギアマガジン』で収まりきらなかったインタビューや、
ちょっとした小ネタなど、制作の中のこぼれ話をちょっとだけご披露します!
アリスギアマガジンVOL.11 巻頭特集
世代的にガンダムから入って、リアルロボットブームの流れを体験しているので、当時のメカデザイナー……といっても殆どの方は現役なのですが、やっぱり影響を受けていると思います。80年代は、次々と新しい作品やデザインが出てきて、今考えると短い期間だったと思うんですが、その中でブームもあって、節目節目で違う流れが現れたり、濃い時代でした。河森(正治)さんや出渕(裕)さんのデザインは原体験すぎて、自分の中で偉大ですし、カトキ(ハジメ)さんも衝撃でした。
小学生のころから描いていた記憶はありますね。外で遊ぶより家の中で絵を描くタイプ、根っからのインドア派ですね(笑)。
そうですね。女の子よりメカばかり描いてました。今回(アリスギアマガジンVOL.10)、仕事で女の子を描いたのも本当にひさしぶりでした。
ゲームも初期のブームの頃に洗礼は受けています。とは言え、さすがにすぐにはゲーム機は買えなかったり、行動圏内にゲームセンターも無い田舎だったりで、熱心に通うこともなかったので、あまりやり込んでいたわけではないです。
それでも一通り遊んでいたんですが、プレイステーションの登場はやはり衝撃的でした。3Dのメカが動かしやすくなったから、当時はたくさん出ましたよね。今のグラフィックと比べるととても簡素なものなんですが、3D空間で自分でロボットを動かせるというのが本当に楽しかった。自分の中で、自由に動かせることが楽しい、ということが思いのほか比重が高かったみたいで、自分でデザインしたい、動かしたい、動かしてもらいたい、というのがゲーム業界に入るきっかけになったと思います。
スーツにどこか特徴がほしいなと思って。左右対象を崩すポイントとして斜めの線を入れました。留め具は、ブランドもののベルトのバックルをメカっぽくしてみたりしてます。
太ももの中間はギアの切り替え箇所なので、どうしてもここにポイントがくるんですよね。最初に作業を進めたのが3人(薫子、サンティ、紅花)だったのですが、サンティは全身スーツにしたり、自分の中でこの部分でも3人の差別化を考えました。
そうですね。3人分のラフを描いて、山野さんとサンティさんはスムーズに方向性が決まったので、じゃあまずは山野さんを進めようか、となりました。
他のキャラも含めた全体のバランスをみないとわからないところはあります。ただ、全体はピラミッドさんのほうで調整をされますから、あくまでも自分のなかでのバランスですね。そのなかで「自分のデザインしたシリーズ」が分かる共通のディテールを入れていったりと。
これはクセでつけちゃってるとこもあるんですが、ワンポイントとして入れやすいというか……(笑)、でも結果、キャラのポイントになる記号になったという感じでしょうか。
用途というほど考えていないんですが(笑)、サンティは髪の毛にボリュームがあって、絵の状態から3Dモデルになったときの状態が想像しづらかったんですね。だからパーツを両側と後ろに逃がしている、というのはあります。専用アクセサリーはどれも苦労していて、他の方たちが上手くデザインされているのを見ると、「ああ、そういうやり方があったか!」と、いつも感心させられます。
みなさんもすべてキャラとセットで描いている訳でもなく、ギアだけ担当のキャラもいたりするので、言い訳にできないですよ(笑)。
間を埋める為です(笑)。でもさっきの話のとおり、自分のデザインしたキャラの共通記号として使っていて、紅花は3点に絞って使っています。とは言え、ときどき2つになったり6つになったりしてますが・・・。紅花は、初期設定ではもう少し背が低いキャラクターだったんですよ。当初は背が低いキャラなりのバランスで描いていたので、後に各所を調整していますね。
自分の中で最初は"黒ヒョウ"をモチーフにしていて……まぁ途中で消えるんですが(笑)、それでしっかりと筋肉質な太いイメージで描いていたんです。でも、描いていくうちに脛のほうが細くなってしまっていて。そこはきっちり海老川さんに調整して頂いています。小さくまとまっちゃったなと自分で感じるところは、やっぱり見抜かれるんですよね。いつも的確で、もうぐうの音も出ないです(笑)。
スーツはピラミッドさんのデザインになるんですが、スーツに使われている模様をギアの腕にも使って、スーツと統一感が出すようにしています。苦労したポイントで、ゲーマーという設定なので最初はゲーマーっぽくヘッドセットという発注だったのですが、キャラエピソードでもヘッドフォンが手に入るとのことだったんです。それで差別化でヘッドフォンを後ろにかけているようなイメージにしてみたり。ケモノミミの件もそうですが、いろいろ二転三転したところもあって、難産だったところはありました。
ショットギアが"ドライヤー"のイメージなので、あんまりメカっぽいディテールは入れづらいなと。おしゃれ系ですから(笑)。それでディテールよりも、マーキングを大きく入れてみようと考えました。
最初は構えてミサイルを発射するだけだと思っていたので、発射時に蝶に見えるような形にデザインしています。でも実際のゲーム中では踊っているように振り回していて。想像していたのと違って驚いたりしました。他キャラとの差別化のための特徴付けだと思うんですけど、実際、萬場さんらしいですよね。ギアの配色は、ピラミッドさんのラフや私のデザインでは、白とピンクがメインの配色だったのですが、島田(フミカネ)さんの提案で黒とピンクになりました。
そうかもしれないですね。専用スーツとの統一感も出て、よりギャルっぽさが増したと思います。とにかくこの萬場さんについては、ピラミッドのご担当の方がギャルに並々ならぬこだわりを持っていて、この人は何を言っているのだろう……と思いながら説明を聞いていました(笑)。
トップスとボトムスは元デザインを自分が担当して、そこから柳瀬さんが仕上げています。ショット、クロス、SP武器は私のほうで、ほぼデザインしています。。
イメージはメイドですけど、初期はあえて全面に出さない、というコンセプトでした。モチーフはだいぶ変化したのではないかと思います。決定稿には鳥っぽさも入ってますよね。
そこは他のキャラとのバランスもあると思います。複数人で平行してデザインしていましたので。最初期は"アライグマ"がモチーフだったんですよ。浮遊ユニットを、モノを洗っているアライグマのシルエットにしたりしてました(笑)。機会があればどこかで復活させたいですね。
クロスギアは、"燭台"そのままですね。メイドっぽいものでということで、"銀のトレイ"の盾とセットです。SP武器も料理を運ぶ"ワゴン"で、展開して使います。これはピラミッドさんからのオーダーがありました。
まだ未登場なんですけど、専用ギアではなく、汎用ギアも描かせて頂きました。いつゲーム中に出るかわからないですけど、いくつかお手伝いしています。
専用ギアの後ですね。ストーリーの中で鳳さんたちが試験で使っていたギアの一部は、もともと汎用ギアとして描いたものでした。あと、先日から追加された新ミッションに登場する敵メカ・ヴァイスもちょっとお手伝いしています。まず2体登場しましたが、描いたのは全部で4体ほどです。
海洋生物をモチーフに、というものもありました。そのシルエットをメカっぽくしているという感じです。雑魚敵にはあまりポリゴン数をさけないので、できるだけシンプルに、というオーダーがあったのですが、描いているとどうしても凝ってしまいますね。ま、ピラミッドさんの方でなんとかしてくれるだろう……と(笑)。
このゲームでヴァイスを描くのははじめてだったので、かこい(かずひこ)さんたちが描かれたものの要素を拾って合わせていくのは、最初はなかなか馴染まなくて苦労しましたね。
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