「自分は日本人よりも先に自分を差別していたと思うのだった。若い頃はそんなことを知らず、日本ばかりを恨んでいた」
韓流ブームの今にあって、あらためて〈在日文学〉の今日的意義を問いかける作品
在日2世として生まれた主人公、金民基(キム・ミンギ)は今は年金暮らしで、すきな歴史研究に図書館通いを日常としている。
そこに声をかけられ知り合う女子高校生、そして近い年齢の句会の会員らとの交流、そして別れた妻との間にできた娘とその子供との出会い……静かな生活が突如騒がしくなり始める。
差別の中で傍観の生き方を余儀なくされてきた主人公は過去を思い出し、そして今と対峙するが……
李 起昇(イ・キスン)
1952年山口県、下関に在日2世として生まれる。母親は日本人。
福岡大学在学中より小説家を目指す。
韓国への留学、民団中央本部勤務を経て、1985年「ゼロはん」で群像新人賞を受賞。
同年公認会計士試験に合格し、その後、会計士の仕事に携わる傍ら、新作小説の発表を続ける。
今回の発表は18年ぶりとなる。妻は韓国舞踊の人間国宝の履修者でもある趙 寿玉(チョウ・スオク)
■製品仕様
著者:李 起昇
発売日:2013年2月26日
判型:四六版
総ページ数:256
定価:1,600円(税別)
発行:フィールドワイ
発売:メディアパル
ISBN:978-4896102642
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